世界中でビールが最も飲まれている国。
オクトーバーフェストも開催され、乾杯の歌まであるドイツかなと思ってしまいますが、実はひとりあたりの年間ビール消費量最多を誇るのは、チェコなのです。
●ビールの消費量が一番多い国は意外にも…(インタラクティブ地球儀)
しかも上の記事のグラフを見るとお分かりのように、2位オーストリア以下を大きく引き離してのダントツトップ。
年間で1人あたり149リットルのビールを飲み、この量は日本の3.4倍にあたるのだそうです。
しかも単にビール好きな国民というだけではありません。
チェコは、ビールの長い歴史において非常に重要なエポックメイキングとも言える役割を担っているのです。
それはピルスナービールを生み出したことです。
ビールの種類や醸造方法の話は、書き出すとそれだけで長くなってしまうので、興味ある方は下記の記事をお読みください。
●ピルスナーとはなにか? ーピルスナーが世界を席巻した理由に迫る- | ACCETORY
●ラガー、ピルスナー……クラフトビールが注目される今、覚えておきたい“ビールの分類” – 日経トレンディネット
ここ数年はクラフトビールブームで、日本でも多様なビールが飲まれ始めていますが、それも割合にしたらごく一部。圧倒的多数の人が日々飲んでいるのは、大手メーカーが作っているピルスナータイプのビールです。そして世界レベルでも同様に、ビールと言えばピルスナーです。
そんなピルスナー誕生の地がここ、プルゼニュに醸造工場をもつ「ピルスナー・ウルケル」です。
プルゼニュのドイツ語名は「ピルゼン」。ピルスナーとは「ピルゼン風の」、「ピルスナー・ウルケル」とは「ピルスナーの元祖」という意味なのです。
チェコ語では「ピルゼンスキー・プラズドロイ」。
ちょっと難しいですね。
昨年末にアサヒの傘下に入りニュースにもなりました。
●アサヒ、中東欧ビール事業を8883億円で買収 欧州に基盤 | ロイター
そんなピルスナー・ウルケルのビール醸造所は、観光名所としても大人気。
日本のビール工場見学ツアーと違い有料なのですが、それでも様々な国からやってきた観光客で大賑わい。
基本のツアーは所要時間1時間40分、100チェコ・コルナです。
7か国語のツアーがありますが、残念ながら日本語はありません。空きがあれば当日でも大丈夫なようですが、公式サイトで予約することもできます。
高い煙突がある建物の脇を歩いて・・・
このバスに乗って工場内を移動です。
ガイドの方が解説をしてくれます。ここはボトリングのエリア。
広いスペースにびっしり張り巡らされたレーン。
緑色のボトルがきれいに並んで進んでいきます。
不思議と目が離せなくなります。
ビデオカメラによる製品チェックもあちこちで行われているようです。
そして、ビール製造工程の説明に。
一面に敷き詰められた麦芽。
香ばしくって美味しそうだな~と思っていたら・・・
ちゃんと試食用(たぶん)もありました。
こちらはホップ。
乾燥して粉末にし、固めてうさぎの餌のようにしたペレット状態のものが中に入っています。
その固形のまま食べると口の中がしばらく味覚障害になってしまうのですが、このミルで粉末にし、ちょっとだけ試食することができます。
こちらはペレットにする前のホップ。
ここは確か、水に関する説明をする部屋だったと思います。
赤銅色に輝くタンクが並ぶ部屋。
何年か前にすべて一新し、今はこれらは使われていないようです。
こちらは最新設備。
ガイドさんのトークは非常に熱く、参加者も熱心に聞き入っていました。
で、ここまでは日本国内のビール工場見学でもだいたい同じような体験ができるのですが、元祖ピルスナー・ウルケルならではの特別な空間を見ることができるのはここからです。そこはどこかというと・・・
地下です。
入った瞬間、急激に気温が下がるのを感じます。
まるでひんやりした洞窟のよう。
絶対にひとりでグループを抜け出して、勝手な方向に行かないようガイドさんに釘を刺されます。
というのもここ、通路がびっしり並んだ広大な地下空間になっているからなんです。
冷蔵設備がなかった時代、暑い時期でも低温でビールを貯蔵しておくための地下空間が、今もそのまま残っているのです。
ワイナリー見学で一度同様の地下貯蔵庫に入ったことありますが、もちろんこんな規模ではありません。
しかもこの空間で、今も昔ながらの製法でビールが作られているのです。
ずらり並んでいるこの木の樽、てっきりディスプレイ用かと思ったらそんなことではなく。
中にはぶくぶくと泡立つビールが。
これこそ本物の「樽生」と言えるものでしょう。
この伝統製法で作られたビールを飲めるのがここ!
しかも・・・
樽から直接注がれた、無濾過の状態で!!!
この方は、前回のチェコプレスツアーに参加した人の話によると、ビール注ぎワークショップの時の講師役も務めた方なのだとか。
暗い通路の両側にびっしり積み重ねられたビールの樽。
近代的なビール工場しか見たことのない私には、まさにタイムスリップ体験。
昔読んだビールの本に、この工場の白黒の写真も掲載されていたのですが、まさか本当に来れるなんてその時は思ってもいませんでした。感動。
人生で、これほどまでに鮮度の高いビールを目にしたことはないでしょう。
樽から直接注がれた無濾過ビールは、美しい琥珀色。
美しい。
そして美味しい。
ああ、お替りしたい!!!と思っても、試飲できるのはこの一杯のみ。
もっと飲みたいという人は、工場敷地内のレストランでも注文ができるようです。
もはやどんなルートを歩いているのか全くわからないまま地下通路を歩き・・・
途中、樽の鏡板の穴を通る挑戦のコーナーを経て地上へ。
盛りだくさんだった工場見学ツアーはこれで終了です。
長らく冷たい地下通路にいて冷え切った身体に、地上の暑さはことのほか衝撃的。
吸い込まれるようにお土産物ショップへ。
ここでは、ピルスナー・ウルケルのグラスやジョッキ、Tシャツなどを買うことができます。ジョッキも惹かれましたが、スーツケースを持参しなかったので割れ物は持ち歩くのが難しく・・・
ピルスナー・ウルケルのロゴ入りUSBメモリを購入。
本当はロゴ入りの栓抜きが欲しかったのですが、ちょうどいいのがありませんでした。
順序が逆になってしまいましたが、最後にピルスナー・ウルケルの門へ。
敷地内の建物はすべて近代化されていますが、創業50周年を記念して1892年に建てられたこの歴史的な門だけは残してあるのだとか。
今回はベーシックな1時間40分のツアーに参加しましたが、公式サイトを見ると他にもワークショップなども開催されており、また時間がない人なら、50分の地下メインのツアーなども用意されています。
ビール好きな人はもちろんのこと、そうでない人にとっても楽しめるツアーです。
何より是非あの地下空間、そして無濾過ビールを味わってほしいと思います。そのためだけにプラハから日帰りでやってくる価値もあると思います。
初めまして。
ブログ拝見させて頂きました。ありがとうございます。
1つお伺いさせて頂きたいのですが、わたしは10月にプラズドロイ工場に行きたいと思ってます。そこで行われるドラフトビアワークショップに参加したいと思っております。(工場見学も含め) 予約方法をお教えいただけないかと思いコメントさせて頂きました。尚2017.10.14に行く予定です。
ご返信頂けると幸いです。
何卒よろしくお願い致します。