世界遺産・リトミシュル城

パステルカラーの壁面の建物が通りを埋め尽くす、「かわいらしい中世の街」リトミシュル。
市街地中心からも歩いてすぐの場所に、世界遺産「リトミシュル城」があります。

16世紀にベルンシュタイン家の居城として建てられました。

領主はスペインから嫁いだ妃ララのために、当時ボヘミアではみられない優雅で明るいルネサンス様式の城を建築した。城壁はスグラフィットという技法で描かれた壁画で全面覆われており、その数8千、同じ模様はひとつもないといわれている。

●リトミシュル城 – Wikipedia

この「スグラフィット技法」の壁画がすごいんです!!!

遠くから見ると、何かタイル状のものがびっしりはめ込まれているのかなと思うのですが・・・

近付いてみるとこんな感じ。

素朴な土色の壁の上に白い文様。
白い漆喰を塗り、それを浮かび上がらせたい文様だけを残し、削ったりひっかいたりしてはがしていくという技法のようです。

長方形の枠の中は、台形に浮かび上がっているかのような立体感をだす影もつけられているのですが、そこのところの斜めのひっかき、幅はだいたい均等なんだけど先が細かったりはみ出したりもしていて、なかなか味わいがあります。

文様も、人の顔だったり、動物や魚だったり、確かにいろいろ。

豚?犬?

なにやらシュールな絵柄のものもあって、ついつい目で追いかけてしまいます。

城の中にあるバロック劇場。
それほど大きくない舞台なのに、奥行きはかなりある???と思いきや、実は手前の一部を除いてすべて舞台の背景画なんです。

ちょっと騙されちゃいますね。

階段が妙~に緩やかなのは、乗馬したまま登れるようにしたためとのこと。
建物内も下足のままどころか、お城の中まで馬で入ってしまうのかと、時代を超えたカルチャーショック。

お城の中庭。
アーチが連なる柱廊で、中世舞台の映画の世界にトリップインした気分になります。

リトミシュル城は、ガイド付きツアーに参加することで中の部屋も見学をすることができます。

私にとっては、初めてのヨーロッパお城体験。

ご存知マリア・テレジアの肖像画。
実際に訪れたこともあるそうです。

他にも多数の肖像画が。
壁や天井の装飾も非常に精緻で美しいものとなっています。

でも近付いてみてみると・・・「あれ?え???」なんていうだまし絵も。

ネタバレしては面白くないので省略しますが、ぜひぜひガイドさんの話をしっかり聞いてまわってみてください。
きっと何倍も楽しめると思いますので。

用途の違う様々な部屋が連なっています。

天井のレリーフなども要チェック。

金でふちどられたグラスも。

こちらは男性のプレイルーム。
ビリヤード台や、カード遊びをするためのテーブルなどが置かれています。

そして壁に飾られた絵画は戦争もの。

馬の絵が飾られたお部屋。
そう、さきほど「馬も登れる階段」がありましたが、馬に乗ったままやってきたゲストの馬の待機場所だったお部屋だそうです。

まあもちろん、馬にテーブルもチェアも必要ないので当時は置かれていなかったのかもしれませんが。

部屋をひととおり見学した後は、一階にあるワインとお土産の小さなショップに。

試飲もさせてもらいました。

店内ぐるっと見て、それで終わりかなと思ったら、店の一角に下へと続く階段が。

なんとさらに地下があるんです。
かなり堪能した上にさらに続きがあると知り、わくわく。

地下にはリトミシュルで創作活動をしている芸術家オルブラム・ゾウベク氏の作品が飾られています。

1926年生まれで高齢なのですが、実は城に来る前に立ち寄っていた食の祭典の会場にもいらしていたのだとか。気付かなかったことが悔やまれます。実はその翌月の6月15日に亡くなられたそうです。

●Olbram Zoubek – Wikipedia

貯蔵庫のような通路に立ち並ぶ作品群。

動きだしそうな生々しさがあります。

こんな作品が飾られた部屋もありました。

実はこれ、大量のろうそくを溶かして合体させて作ったもの。

ビロード革命によって共産党政権を倒し、チェコの初代大統領となったヴァーツラフ・ハヴェルが2011年に亡くなった際、彼の死を悼む市民がともしたキャンドルを集めて作ったものだそうです。

プラハの国際空港も、現在は「ヴァーツラフ・ハヴェル・プラハ国際空港」という名前になっています。

近くには脚立が置かれていて、上から見ることができるようになっています。

周囲を歩いていた時には気付かなかったのですが、なんとハート形。
しかも中に入ることができるようになっていて・・・

こんな記念撮影もできます。

ハート形の紙も置かれており、今もヴァーツラフ・ハヴェルへのメッセージを書き残すことができるようになっています。

地下にはワインの貯蔵庫。
ワインの長期保存に最適な温度が保たれていて、いわゆるレンタルワイン貯蔵庫にもなっているそう。

ワインの販売も。

敷地内にはいくつかの建物があり、そのうちのひとつが作曲家ベドルジハ・スメタナの生家。

元々スメタナの一族は、ボヘミアのフラデツ・クラーロヴェーに居住しており、フランチシェックの代にリトミシュルへと移住している。フランチシェックは、最初ビールの醸造業者の商取引を学び、ナポレオン戦争中にフランス帝国軍に衣類と食糧を供給することによって、中流階級の富を獲得した。その後、1823年にリトミシュルに移る前まで、彼はいくつかのビール醸造業者の経営を行っていた。リトミシュルには、当地をリトミシュル城を中心に治めていた、ヴァルトシュタイン伯のビール醸造者として移っている

●ベドルジハ・スメタナ – Wikipedia

リトミシュル城の中のビール醸造所でスメタナは誕生したのです。

それがここ。

実際に使われたいた書斎テーブルなどが展示されています。

もう一か所、こちらの教会が見事なのですが、
長くなってしまったのでいったんここまでにします。