リトミシュルの観光のメインは、世界遺産にも登録されている「リトミシュル城」ですが、私たちが訪れた日は地元で大きな食の祭典が開催されているということで、昼食兼ねて立ち寄ってきました。ずらり並ぶ車。近郊からもたくさんの人が訪れているのでしょう。
奥へと進んでいくと、突如たくさんの人!!!
観光大国チェコは、どこへ行っても街の中心部は大勢の観光客でにぎわっていますが、ここにいるのはほぼすべて地元の方々。
まるでお祭りのような盛り上がりです。
イベントは年に一度だけ開催される、マグダレナ・ドブロミラ・レッティンゴヴァーにちなんだ食の祭典「Gastroslavnosti(ガストロスラブノスティ)」。
●Czech Republic – マグダレナ・ドブロミラ・レッティンゴヴァーの食の祭典・リトミシュル
チェコの料理界はチェコの伝統料理と国内各地の質の高い生産品に回帰しつつあります。美食家を引きつけるのはリトミシュルで開催されるM・D・レッティゴヴァーをテーマとした食の祭典ウィークです。チェコ料理の愛好家はもちろんこのご婦人が国家の再興時期に、個人と国民性の誇りをキーワードとして美食の作品で料理の地位を高めたことをご存じでしょう。人気を誇っているのは色とりどりの晩餐と、各料理長が腕を奮う地元レストランの特別料理です。同時に最高のローストビーフのクリームソース(スヴィーチコヴァー・ナ・スメタニェ)を競うコンテスト、最高のバーボフカ(ケーキ)や鍋で煮込んだグラーシュ(肉を使った煮込み料理)を競うコンテストや、認証付きの家族レシピの交換、料理教室やビールの注ぎ方講習会なども催されます。祭典のクライマックスはスメタナ広場で行われる野外グルメイベントです。
マグダレナ・ドブロミラ・レッティンゴヴァーは人名で、チェコ語で最初の家庭料理のレシピ本を執筆した女性です。
彼女が生きた18世紀末から19世紀にかけては、ちょうどチェコで民族再生運動が巻き起こっていた時代。チェコの家庭料理をチェコ語で解説したこの本はベストセラーとなり、今でも出版され参考にされているそうです。
●Magdalena Dobromila Rettigová – Wikipedia
さあ、いったいどんなチェコ料理が食べられるのだろうと、通りに並べられたテーブルで食べているチェコ女性の近くに行くと・・・あれ?
お箸?お寿司?
なんとびっくり。
チェコのこんな小さな町のグルメイベントに、日本のブースが出店しているではないですか!!!
中でお寿司を握っているのも若い日本女性。
ブース出展しているのはチェコ在住の男性で、ブースをお手伝いしているのは主に留学でオロモウツにあるパラツキー大学に通っている大学生とのこと。パラツキー大学には日本語学科もあり、そこで日本語を学んでいるチェコ人の男子学生も混じっていました。
この右側の陽気な男の子です。
日本を訪れたことはまだないそうですが、日本人の女の子と結婚したいのだそう。なかなか流ちょうな日本語を話していました。
「もちろんお寿司なんて握ったことないけど、先輩に教わって」とのこと。
それにしてはなかなか上手!
舞台も。
チェコ料理の数々。
レストランではこれまで食べてこなかったものも多く、他のツアーメンバーと「これは一体なんだろう?」と分け合いながらちょっとずつ賞味。
日本人の口にも合う、やさしい素朴な味付けの料理が多く、そしてやはりビールの国。
おつまみにもぴったりなものが多い気がします。
相変わらず大賑わいなのは日本料理ブース。
プラハなど大都市と違って、まだまだ極東の島国の料理は珍しいのでしょう。
ちなみにここ以外、中華も韓国もインド料理も含め、外国料理ブースはありませんでした。
チェコの日本人コミュニティやるなあ!
メイン会場から細い路地を通って、もうひとつの会場となっている小さな広場へ。
実はこちらはコンテストの会場にもなっているのです。
まずはビールを調達!
基本、地元の人向けのイベントなので、英語表記も全くありません。
これでは何を注文すべきなのか全くわからないので、後ろに並んでいる女性に「ビールのこと教えてください」と聞いたところ、ひとつひとつ、丁寧に色から味から説明をしてくれました。
行列も長かったので、申し訳なくなってしまうほどだったのですが、その後ろに並んでいる人たちまでが「これが美味しい」「僕はこれを頼む」など、私にむかってニコニコ笑顔で解説をしてくれ、チェコ人のホスピタリティに感激。
エコのため、カップは使い捨てではなくデポジットを払って利用する再生カップです。
初回の一杯だけカップのデポジット料金が付加されますが、次からはビール代金だけ。そして最後に返却すれば50コルナが戻ってきます。
「Kdo v sebe alkohol lije, spálí si v mozku ganglie.」
アルコール飲み過ぎで脳がやられてしまうという、シニカルなイラストと文言。
版画作家でもあるヨゼフ・ヴァーハルの小説の一説だそうです。
このカップで気に入ったのがこの小さな取っ手。まとめて幾つものカップを運ぶ時、これで連結することで安定します(ちょっと角度があるので、並々注がれるとこぼれちゃいそうですが)。
さらに・・・
空になったカップをこんな風にバッグの紐に挟んだり、ベルトやズボンのポケットに差し込んで持ち歩けるんです。立ったまま食べたり飲んだりする食のイベントでとっても重宝です。日本でもこんなリターナルカップを採用したらいいのに。
コンテストの課題は、肉を煮込んだスープ料理「グローシュ」です。テレビ取材も入っていました。
エントリーしているチームがそれぞれ、大鍋でぐつぐつと煮込んでいます。
どの時代の衣装なのか不明ですが、荒織の布で作った前掛けのようなものを揃いで着用しているチームも。なぜかアラビア文字まで。
ビール飲みながらなので、スープが完成する前にかなり酔っぱらってしまいそうですこのチーム。
ヨーロッパ全体でキノコ類は好んで食べられているそうですが、もちろんチェコ人もキノコ大好き。レストランでも美味しいキノコのスープに出会えます。びっくりするような巨大キノコも。
こちらはキノコたっぷりのスープ。
濃厚な香りが立ち上がり、どんな味なのか気になります。
一般のお客さんが試食して投票し順位を決めるコンテストらしいのですが、残念ながらこの時は試食タイムではなかったようです。
さてこちらは、よく見ると「SOKOL TOKYJO」と書かれたTシャツ。
後で検索して知ったのですが、リトミシュルの地元サッカーチームの名前でした。なぜこのチーム名???
そして彼らが作っているのはなんと「カレー」。
「日本人なら知ってるだろう、カレーだ」と何度も言われたものの、「カレー」の発音がよくわからず、またここでカレーが出てくると思わなかったものだから何度も聞き返してしまい、悪いことをしました。つか、カレーとグローシュは全然別物な気がするんだけど。
とにかく陽気な人たちでした。
記念に缶バッジももらってしまった。
赤いきのこの帽子をかぶった美人母娘。
長い串に刺したウインナーを炙って食べる一家。
コスプレも大事な要素のようです。
こちらは縞々の囚人服を着たチーム。
網タイツの看守女性まで。
中に入りなよと誘われてテントの中に入ると、中で調理していた囚人コスプレの男性が突如豹変して、入ってきた人に襲い掛かり、奥のベッドに押し倒すというアトラクション付です。
エントリーしているのは9チーム。
ここで人気投票ができます。
カレーを作っている東京チームも多くの得票で健闘中でした。
かなり長居して、チェコ料理をあれやこれやとつまみ、ビールも飲み、そしてチェコの人たちともいろいろお話をさせてもらった食イベント。ツアーという形で旅行していると、ガイドさん以外の地元の方と話す機会がどうしても限られてしまうので、そんな意味でもとっても貴重な機会になりました。
●Gastroslavnosti
●Gastroslavnosti Magdaleny Dobromily Rettigové(FBページ)
開催は毎年5月下旬の2日間のようで、第八回となる2018年の日程(5/19-20)も発表されています。
もしこの前後にチェコ旅行を計画している方がいたら、ぜひ情報収集してみてください。楽しめると思います。