夜、モスクの尖塔(ミナレット)を登る

写真夜、タンヌーラを観にイスラム地区に行ったときの話。

「スルタン・ゴーリーの隊商宿ってこのあたりだよなあ」と見上げていると、モスクらしい建物の階段登った所にある入口に座っていた男性の一人が、慣れた手つきで手招きする。

普段、「こっちだよ」と呼ばれて近づいてっていいことは滅多にないのだが、この時はあまりにもその人の手招きが自然だったので、何も考えずに階段をあがっていってしまった。

あがってみると、隊商宿ではなくモスク。
聞いてみると、舞台は9時からで建物はいくつか先とのこと。

「それまで時間あるだろう。モスク見てったらどうだ?」
「いや、お祈りの時間だからやめておきますよ」
「別に問題ない。大丈夫だよ」

写真

あとでチップ払わないといけないから面倒だし、いつもだったら断ってでてくるんだけど、その男性の勧誘がさっぱりしていて感じも悪くなかったので、乗っかることにした。

もともと外国人旅行者に有料開放されているモスクなので、内容次第でチケット代10ポンドを上限にチップ払うと割り切っちゃえばいいだろう。

礼拝のため、10人ちょっとの男性がもう建物の中に入っていた。

自分も靴を脱いで、邪魔にならないように広間の後ろを横切り、反対側の扉へ。
そこは建物の上のほうへ登る階段があるところで、ガイド役の男性の案内で、暗い通路や階段を進んでいくと、モスクの礼拝する広間後方の三階部分にでた。

写真

一階の広い所では男性が、その後方の二階の区切られた部分では女性が夜の礼拝を始めようとしているところだった。

「ここからなら撮っても大丈夫」

と促されビデオをだしてしまったが、さすがに女性の礼拝場所まで見えてしまう場所なので、「いくらなんでも隠し撮りみたいでまずいよな・・・」と、ちょっとだけ撮ってしまった。

写真

そこからモスクの屋上へ。
見事な眺めだった。

写真

ただ、基本的に人が昇る場所じゃないので特に柵もなく、縁に飾り石がついているだけで、ちょっと怖かった。

さらに高いところがあり、先にそこによじ登った男性が「眺めがいい。こっちへこい」と手招きしてくれたが、さすがにそこに上ると自力では降りられなくなり、リスクでかすぎるので遠慮。

写真

そして尖塔(ミナレット)に登った。

7年前に一日ツアーでモスク回りした時に一度登ったことがあり二度目。
でも夜は全く違った。

この塔の中、まったく明かりがなくて完全に暗闇なのだ。
暗闇の石造りのらせん階段。


きつかった~!!!


「これでチップ得てるんなら懐中電灯もってきとこーよー」と日本語で愚痴りながら、アラビア語では「大丈夫。一人で歩けるから気にするな」と差し伸べてくれる手を遠慮して、転げ落ちないよう慎重に必死に登った。

写真

それでも登った甲斐あり!
ビデオなもんでちょっとくらい写真になってしまっているが、イスラム地区のモスクや市場の明かりがぐるり見下ろせる。

この写真は屋上部分から撮ったビデオの切り出しだが、白い光の帯になっているのが市場部分。

写真

ハンディカムのズームがかなりきくので、肉眼ではまったく見えない路上の人たちもしっかり識別できる。

写真

なんとここまで。
今回このビデオ、「双眼鏡」がわりにもなって結構便利だった。

最後降りてきて、握手する手でチップを渡した。
こういうチックの渡し方は久しぶりだなあ~。

チップ請求の必要もなく、向こうも何だかほっとした表情に見える。

隙間時間でなかなか貴重な体験ができた。