帰国前日、念のためEチケットをリコンファームしておこうと思い、タラアト・ハルブ通りにあるエジプト航空のオフィスに立ち寄った。
中に入ろうとした瞬間、ワイシャツ姿の20代と思われる男性が声をかけてきた。
「エジプト航空に用事か?」
「うん。チケットのリコンファーム」
「どこへ?」
「日本」
「このオフィスではない。あっちだ」
きたな~!!!
「なんで?エジプト航空のオフィスじゃん」
「いや、ここは国内専門。インターナショナルは別だ」
「え、そうなの?」
そう話している自分たち二人の横にはエジプト航空オフィスのガラスに張られた「DOMESTIC&INTERNATIONAL」の文字。
「間違いない。僕はエジプト航空に努めている」
そういって、ズボンのポケットから財布のようなものを取り出すとかぱっと開いた。
ネット状のものの中に、何か社員証のようなものが見えたが、すぐ閉じたので見えず。
古典的な手だなあ。
でも不慣れな日本人だと「疑っては失礼」という意識が働いて、信じちゃったりするんだよね。
国内のオフィスを聞くと、道路渡ってすぐのところだという。
遠いようだったらさっくり振り切って“本当の”エジプト航空のオフィスに入ろうと思ったが、すぐ近くだったので興味が湧いた。
相手は「明日帰国する旅行者」と知っている。
しかも今の目的は「リコンファーム」ということも知っている。
はたしてこれ以上、何を売り込めると思っているのだろうか?
まさかいまさら「アブ・シンベルツアー」とかじゃないよなあ。
騙されたふりをしてついていったのは、
なかなかちゃんとした旅行会社だ。
「やっぱり旅行会社じゃん」
「いやエジプト航空だ」
まだ言い張るか!
そして、カウンターを指差し、奥に引っ込んでしまった。
カウンターにはきれいな女性。
「ここはエジプト航空のオフィス?」
あえてそう聞いてみると、
女性は顔色も変えず、イエスともノーともいわず、
「スモール・オフィス」
と答える。
まあ嘘ではないが、あまり疑わない人だと「支店」という意味で受け止めるのかもしれない。
「チケットのリコンファームをしにきた」
「チケットを見せて」
渡すと、リコンファームできるという。
へー。
そして続けた。
「ただし25ポンド(500円)の支払いが必要」
おお。そう来たか!
苦笑しながら手をのばし、Eチケットの用紙を相手の手から取り上げ、「ラ・シュクラン(ノーサンキュー)」とだけいってオフィスをでてきた。
単にエジプト航空のオフィスに電話してリコンファームするだけの代行手数料で25ポンド取る気だ。
きっとこれまでも、同じ手で、ノーと言えない日本人を連れ込んで稼いでいたのだろう。
まあ、日本人にとって25ポンドはさほど大きな金額ではないだろうが、あとあと「なんか騙されたくさいよなあ、自分」という悶々とした思いを引きづることになる。しかも帰国直前だというのに。
そう考えるとちと頭に来る。
次にこういうことがあったら、デジカメで音声録音して、「あんた達は外国人観光客をだます詐欺師だ。今からツーリストポリスに行く」と脅したいなあと思ったりしながら、エジプト航空のオフィスに戻り、リコンファームはあっさり完了。
エジプトでは、相手の話が嘘か本当か確信できなくても、ちょっとでも違和感を感じたら「自分で確認する」と言い切ることが大切。
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