「聖なる丘」というタイトルの記事に映っているのがサングラス男2人だとちょっと違和感あるかもしれませんが、怪しい人ではありません。現地ガイドさんと地方政府観光局の人です。
日本に「札所巡り」「お遍路」があるように、ヨーロッパでは各地に歴史的な巡礼路があり、旅行者にも人気のコースとなっています。チェコではミクロフの「聖なる丘」がそのひとつ。
場所はチェコ第二の都市ブルノから南に50キロほど、オーストリアとの国境に接しています。人口1万人にも満たない小さな町で、街並みもほのぼの。
この地図の右側にくねった点線のラインが見えますよね。そこです。街の中心地にあるミクロフ城からも歩いて行ける距離です。
今回のガイドがこの方。
エネルギッシュでノリのいいトークに、溢れるサービス精神。この日も自分たちのツアーの後もう一件お仕事が入っているということだったので(だけどランチ時はがっつりビールを飲んでいた)、人気のガイドさんなのかもしれません。
まずは巡礼路入り口の看板で、概要を解説。
なだらかな丘の道の途中には、こんな鉄格子がはめられた祠のようなものが点在しており、中には聖者の像やキリスト受難のシーンの像が収められています。祈祷所ということですが、純粋に宗教的な巡礼としてまわっている人は少ないのか、観光客が写真を撮るスポットのようになっていました。
傾斜は本当に緩やかなので、普段それほど歩いていないという人でも問題なく登れるでしょう。こうした丘や高台を登ってゆく楽しさのひとつは、次第に見えている風景が変わってゆくことです。
正面に見える高台の大きな建物がミクロフ城です。そのまわりをぎっしりオレンジ色の屋根の家が囲んでいますが、その瓦は下側が丸くなった舌状の形をしていて、まるで魚の鱗のよう。なんだかとってもかわいいです。
チェコ語だけなので読めませんでしたが、この道の途中で出会う可能性のある生き物の解説ボードでしょうか。
石畳の道はやがて階段の道に。
両側には草が生い茂っており、自然の中を歩く気持ちよさを味わえます。
チェコでは、古い建物がびっしり並ぶ中世の街並みが観光のメインになるので、時間の余裕があれば1日くらい、こうしたアクティビティを入れてみるのもきっと、新鮮でいいと思います。
これが巡礼路に立ち並ぶ祈祷所の一覧。
全部で14か所あります。
途中からこんな、緑のトンネルのような道に。
祠の中の像を覗き込む女性2人組。
見つけることはできませんでしたが、かわいらしい花や鳥も生息しているようです。紫の花が何種類もありました。
丘の上のほうは、ごつごつとした岩が剥き出しになっていました。
そしてほぼ頂上に近付いてきたところで樹々の間を覗き込むと・・・
思わずカメラ構えながらニコニコ笑顔になってしまう絶景が。
ミクロフ城を中心にオレンジ色の屋根がびっしり密集する、ミクロフの街がここから一望できます。その周辺には広大な畑が広がる、国境の街。
緑のじゅうたんという描写が浮かびます。
街路樹で区切られた農園は、よく見ると真っ平ではなく、ところどころこんもり盛り上がっています。
日本だと北海道の風景に近いのかもしれませんが、それともまた違った独特の景色です。手前にはワインの材料となるブドウ畑も広がっています。
「いやー、チェコの農園風景いいなあ~」
なんて思っていたらびっくり。
実は上の写真の上1/3くらいは、実はオーストリア。
確かにそう言われてみると、国境ラインの手前と奥では、雰囲気も少し違います。
国境が地続きというのは、こういうことなんですね。なんだか不思議。
キリストの受難が描かれています。
市街地のはずれにある「山羊の砦」。
丘の上には鐘楼。
そして聖セバスチャン礼拝堂。
途中、写真を撮るために何度も足を停めながらのんびりあがってきましたが、登り口からここまで30分程。それほど疲れずに辿り着ける程よいコースかなと思います。
道は一本だけなので、再び同じ道を下ってきます。
ぶどう畑。
ガイドさんと、このエリアの観光局のスタッフのイケメンおにいさん。
目にも鮮やかな緑のトンネル。
初夏ならではの輝きかもしれません。
でも油断は禁物です。
いきなり上から細い糸とともに小さな緑色の芋虫がぶらさがって落ちてきたりもしますので。