中欧チェコ。
そのレトロな街並みの首都プラハは映画の舞台としてもたびたび登場し、ヨーロッパでも屈指の人気観光地となっています。
広さは北海道よりひとまわり小さい程度で、全人口も東京より少ないほど。
でもその中に、長い歴史を濃縮したかのような中世の趣を残す都市がいくつも点在し、世界遺産は2017年時点で12か所もあります。
現在最も飲まれているピルスナータイプのビールが誕生した国でもあり、ワイン生産でも有名。今も手作業で作られる美しくも精細な彫刻のボヘミアガラスも、チェコで代々受け継がれてきた伝統工芸のひとつです。芸術を愛する国民性は、街中にさりげなく溶け込むアート作品の数々からうかがい知れます。
海がない自然豊かな中欧の国
地図で見るとよくわかるように、ヨーロッパのちょうど真ん中あたりに位置するチェコ。ドイツ・ポーランド・スロバキア・オーストリアの四か国と国境を接し、海には面していません。周辺の国々とは鉄道やバスで密に結ばれており本数も非常に多いので、チェコとオーストリア、あるいはチェコとドイツというように、二か国・三か国を一緒にまわってみるのもいいでしょう。
国土の大半は高原地帯で、北部には山岳地帯もありますが、最高峰で1,602mということなのでそれほど高く険しい山々というわけでもないようです。最高峰まで登った方のレポートがありますので、興味ある方はご覧ください。
チェコとポーランドを一度に楽しむ方法が、スニェシュカ山にある | TRIP’S(トリップス)
チェコと言えばヴルタヴァ川。
ボヘミア盆地を水源とし、チェコ・ドイツを経て北海にそそぐ大河はプラハ旧市街を流れており、歴史的な橋を見上げながら楽しむことができる遊覧船もプラハの人気アクティビティのひとつとなっています。
石畳のレトロな街並みが残る歴史都市
プラハはじめ大都市中心部でも、広範囲に残る石畳の通り。
路地裏の一部かと思ったら大間違いで、トラムが走る主要な通りも昔のままの石畳が残っているのです。
そしてその両脇にびっしりと建ち並ぶ建築物にも歴史あるものが多く、数百年前の世界にタイムスリップしてしまったような錯覚にも陥ります。ヨーロッパは二度の世界大戦で焦土と化してしまった都市も多いのですが、チェコは幸いそれを免れ、昔ながらの街並みが残ったのだそうです。
至るところ世界遺産だらけ!
そんな中世の趣も残るチェコには、なんと12か所もの世界遺産があります。
- プラハ歴史地区
- チェスキー・クルムロフ歴史地区
- テルチ歴史地区
- ゼレナー・ホラの聖ヤン・ネポムツキー巡礼教会
- クトナー・ホラの聖バルボラ教会のある歴史地区とセドレツの聖母マリア大聖堂
- レドニツェとヴァルティツェの文化的景観
- クロムニェジーシュの庭園と城
- ホラショヴィツェ歴史地区
- リトミシュル城
- オロモウツの聖三位一体柱
- ブルノのトゥーゲントハット邸
- トシェビーチのユダヤ人地区と聖プロコピウスのバシリカ
観光客は必ず訪れるだろうプラハ旧市街からヴルタヴァ川対岸のプラハ城までを含む「プラハ歴史地区」を筆頭に、他都市の旧市街エリアや、美しい城に庭園。なかにはバロック様式の建物が建ち並ぶ小さな農村集落もあります。
チェコの国土は北海道よりも少し小さいほどで、都市間には密な交通網も敷かれていますので、世界遺産の制覇を目指してまわってみるのも楽しいかもしれませんね。
西のビール、東のワイン
いま日本では空前のクラフトビールブーム。様々なタイプのビールを飲み比べすることもできるようになりました。「でもやっぱり最後に戻ってくるのは普通のビールかな」という方も多いかと思いますが、その「普通のビール」は日本でも世界でも最も飲まれている「ピルスナー」というタイプのビールです。
それが生まれたのがチェコの「プルゼニュ」という街で誕生しました。
今でもチェコ人はビールをこよなく愛し、ひとりあたりの年間ビール消費量最多を誇るのだとか。実際、レストランでもマイクロブリュワリー併設で自家製のビールを飲ませてくれるところが多く、しかもその美味しさに驚かされます。
その一方、チェコはワインの産地でもあります。
ビールが主にチェコ西部で作られているのに対し、ワインは西側のモラヴィア地方。なだらかな丘の斜面にはワイン畑が広がり、見学ができるワイナリーもあります。
お城めぐりもチェコの醍醐味
チェコ旅行には「お城めぐり」という楽しみ方もあります。
壁一面がパステルカラーの芸術で埋め尽くされた「リトミシュル城」。迷宮のような美しい庭園も散策でき、部屋ごとにがらり雰囲気が異なる「クロムニェジーシュ宮殿」。
「ヴァルチツェ城」そして白く輝く「レドニツェ城」も、外から眺めてよし、内部を歩いて芸術や豪華インテリアに驚くもよし。お城好きな人もそうでない人もたっぷり楽しめる場所です。